企業インタビュー
見えないところだからこそ、手抜きはしない!安全な水を市民の皆様へ。
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まずは仕事内容を教えてください。
水道の工事店です。水道工事といえば蛇口やトイレを設置したりするのをイメージされると思いますが、弊社の業務内容は岡崎市水道局が発注する工事、いわゆる水道本管工事を主に行っています。あとは住宅やマンションなど建築現場で新しく水道メーターを設置する工事も行います。水道本管から宅内へ水を供給するのですが、こちらも道路を掘削します。ここまでの説明だと土木業者の印象が強いですが、一般家庭の修繕業務もしています。比率で言うと9割が道路の工事、あとは一般のお客様から受ける修繕や、排水管の切り替え改造の宅内工事を行っています。弊社は仕事の受注内容の関係で市役所との関わりが多いです。飲み水を扱う上では局との連携は必要であり、また大切な事だと感じています。公共の水道事業の工事に特化している水道工事店です。
メンテナンスと道路の仕事、どちらにやりがいを感じますか?
どんな仕事でも「ありがとう」という言葉を言ってもらえると嬉しいですよね。例えば、修繕工事でトイレの水が止まらなくなってしまったという依頼を受けた時、修理を終わらせ、お客様から「ありがとう。助かりました」と言っていただけるとやって良かったと思います。もちろん道路の工事にもやりがいは感じています。現在水道本管は耐震型の配管に更新しており、地震に強いパイプを布設しています。災害時にも水を安定供給出来るような仕事のお手伝いをしているのですから、自然と現場作業にも力が入ります。ただ、道路の工事は市民の皆様に通行や、断水工事などでご迷惑をおかけする事が多いので、「ありがとう」という言葉はあまりいただけないですね。なるべくご不便をおかけしないように努め、苦情など出さない仕事が出来た時を喜べるように心がけています。
尾﨑さんの経歴を教えてください。
大学卒業後、父親の会社を継ぎたいと思っていましたので、どこか違う水道工事店で修業をしたいと思い、卒業後は同業の武田機工(株)に就職いたしました。この時に覚えた経験は今のわたくしにとって非常に役に立っていると思います。入社時はバブル景気の末期でしたが、仕事量は依然多く、新入社員ですら即戦力として使ってくれました。たくさんの失敗もありましたが、面倒見の良い上司に恵まれたので、多くの勉強をさせていただきました。会社の組織というものもこの時に勉強できたと思います。いずれは自社に戻るつもりで入社したのですが、仕事に慣れてきた時は居心地がよくなり、このままこの会社で勤めたいと感じた事もありました。弊社に戻るきっかけは、父親の体調が悪くなり、自社の業務もうまくまわせてない旨を聞いた時です。景気も悪く仕事量も激減していた時期に尾﨑工業に戻る決心をし、現在に至ります。
最初から継ごうと思っていましたか?
わたくしが小学生の頃に父が今の会社を立ち上げました。起業当時は大変だったらしく、毎日両親共、忙しそうに休みなく働いていました。父と母の仕事をする姿を見ていて、継ぐというよりは、親を助けたいという気持ちが強かったです。父は根っからの職人気質で口数も少なく、わたくしが幼少の頃は怖い父でしかありませんでした。母は当時ではめずらしい女性ダンプカー乗りで、現場ばかりにいて自宅にいる事も少なかったです。姉が食事の支度をし、わたくしと弟がお風呂掃除や洗濯の取り込みをしていました。子どもの時から自営業というのはそういうものであると感じていました。先に述べましたが、家族皆で協力するものだと思っていましたのですが、今考えると歪んでいますね。ただ、父から「継げ」という事は一度も言われた事がなく、結果自分で道を決めたのは高校生あたりだったと思います。
今尾崎さんご自身が現場に出ることはありますか?
毎日という訳ではありませんが、自分が先頭を切って現場へ出向く事は多いです。本来経営者であるならば現場は担当者に任せるべきであり、作業員として動く事は好ましくないとは感じています。従業員を信頼していないわけではないのですが、掘削機械を使い作業をしている以上、安全への配慮は言い続けるよりも見せて教えたいと思っています。正直、人材不足の面もありますので、なるべく現場での社員の負担を減らしたいと考えているのですが、経営者にしか出来ない仕事に代わりはいないので、今後はそういったところを変えていきたいと思っています。
今仕事をしているときに大切にしていること、気を付けていることはありますか?
手抜き作業をしない事です。わたくしたちが配管したパイプは土の中に埋められてしまいますので、なかなか目に触れる事がありません。たとえば排水管の配管ですが、規定の勾配を確保せずに行うと、流れる事に変わりはないのですが、配管内に汚水が残る事が起きます。また、配管時には適切であっても埋め戻す時充分に土を転圧しておかないと将来的にパイプが下がったりもします。ひと手間なくすかわりに配管の不具合を誘発する事は絶対しないよう社員には伝えています。見えないところだからこそ、手抜きはしない。自分が自信を持って引き渡しが出来なければ、お客様からの信頼はないと考えています。あと気をつけている事は職人との意思疎通をしっかり取る事です。現場ごとに仕事内容が変わるため、朝のミーティングには時間を使い、現場では雰囲気を崩さないよう配慮をしています。
将来この仕事をしていて不安なことはありますか?
公共工事がメインなので、仕事量が景気に左右されるという不安はあります。ただ、水道はライフラインで生活に必要不可欠なものですから将来的には悲観する要素はないと思っています。
従業員の平均年齢は何歳ですか?
45歳です。
若い力がほしいと思いますか?
はい。ぜひとも若い力が欲しいです。欲を言えば18,20じゃなく、結婚されていて、ここで頑張るんだという気合のある人が理想ですね。最近では息子がわたくしの仕事に興味を持ってくれているのでうれしいのですが、自分が会社を継いだ経緯もありますので。わたくし自身、あまり良い父親でないのかもしれませんね。会社である以上、存続させていく事は重要と思っているので、若返るための事を考えていかなくてはと思っています。
仕事で必要な資格はありますか?
工事を行うに当たって建設業許可が必要で、経営審査を受け、届け出をすることで役所工事の入札参加ができます。また、会社に管理技士の資格者がいないと受注量の制限を受けますので、自身はもとより社員の資格者も必要となります。
この仕事に対して広く知ってもらいたいことはありますか?
蛇口をひねれば当たり前に水が出るという中、弊社では断水工事を行い、道路掘削などでご迷惑をおかけしているのですが、安全安心な水を各家庭に届ける為の工事は、地域の皆様のご協力なくしては出来ないと思っています。家電製品が年々高性能になるように、埋設管も数年前のものより格段に耐久性、耐震性が向上してきています。更新時期にあわせて道路掘削作業をしていますが、皆様からのご理解がいただけるとありがたいです。
今後の目標を教えてください。
地域に根差した仕事をしていきたいです。企業拡大というより、仕事に責任を持ち、手抜きなしで、埋まったところもうちがやったから大丈夫だと言えるよう努めてまいります。安全な水を供給できるようにし、地域の皆様から頼りにされるような小回りのきく水道屋を目指していきたいですね。
最後に、学生に向けてのメッセージをお願いします。
学業はもちろん大切ですが、アルバイトなどでたくさんの仕事、社会、大人と関わってみると良いと思います。就職氷河期などと世間で言われており、学生の皆さんも大変だと思いますが、もの応じせず若い力で元気に積極的に、そして笑顔を忘れず就活を乗り切ってほしいです。
インタビュアー:経営実務科2年 土井 服部 房本 三上 村田
撮影:服部、房本
原稿担当者:土井 三上 村田
企業情報
企業名 |
尾崎工業株式会社 |
代表者名 |
尾﨑 亘 |
所在地 |
〒444-0068 岡崎市井田南町12-18 |
TEL |
0564-22-7411 |
FAX |
0564-22-7810 |
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