企業インタビュー
石屋さんも認める石屋さんの意志を継ぐ、
若きこだわりの石工!
>>企業情報へ
鳥居(稔)石材店さんについて教えてください。
.僕の曽祖父で、社名にあるように鳥居稔が創業者です。創業当時は、モダン通りに店舗を構えておりましたが、約50年前、祖父の時代にこちらの石工団地に移りました。最近ではお墓も作りますが、ほとんどが灯篭メインです。先ほど作っていたのが菊鉢といって基本中の基本で、次に大きい灯篭を作っていきます。まだまだ序の口です。
鳥居さんは何代目ですか。
四代目です。まだまだ初心者です。
鳥居さん自身は、お客様に作品を作って渡すことはしていますか。
作品は作っていますが、まだ売り物になるほどではなく、自ら営業に行くこともありません。まだまだ修行の身です。ようやく要領が分かるようになったくらいで、それぞれの作り方の微妙な違いや、手順も寸法も違いますし、覚えることはまだまだあります。
創業者の思いなどで、現在まで伝わっていることはありますか。
言葉ではなく、仕上げの具合などの丁寧な手作業、意志が形として伝わっていると思います。父は、自分が作った製品が分かります。それくらい自分の特徴が出るのです。そういった事が形となって引き継がれているのではないのかなと思います。
技術の高い鳥居(稔)石材店さんですが、やはり同業者にも一目置かれているのではないのでしょうか。
父の腕が良いので、「父に頼めば間違いない」と頼られていると思います。本当に丁寧で、仕上がりが綺麗です。
実は、一般企業への就職と石屋を継ぐのを悩んだりしたのではないのでしょうか。
結構悩みました。工業高校なので、条件の良い企業の求人も多くありましたので、迷いはしましたが、やっぱり石屋を継ごうと決めました。正直言うと、最初は一般企業で何年か働いてお金貯めてから職人というか、石屋になろうとも考えました。でもそんなことしていたら、年をとって動けなくなってしまうのではないかと思って。そんなことをしている時間があるなら、高校を卒業して石屋になったほうが将来的にも良いかと思いました。迷いはしましたけれど、間違ってはいなかったと思っています。
やはり毎日忙しいのでしょうか。
休みは、基本日曜だけですね。平日は仕事が終わったら学校に行って、帰ったら寝るだけという繰り返しです。
一日の流れを教えてください。
流れは、日によって全然違います。例えば、大きな原石を寸法に合わせて機械にセットして、機械を回して厚みを合わせたり切断したりと、いらない部分を落としてすぐに父が作業に取り掛かれるようにします。
作業をする中で、難しいことや気を付けていることなどはありますか。
正直、全部難しいですね。こういうふうに丸めたいなと思ったら、自分の中でイメージして作業します。下手すると穴が開いてしまったり、いびつな形になってしまうので、そうならないように細かく作業をすることに気を付けています。とにかく、石と相談しながら丁寧に、ですね。
*
お父さんに言われて大切にしている言葉などはありますか。
言われた言葉というより、姿勢ですね。父は、しっかりと細かいところまで丁寧で、手を抜いたことはやらないので、そんなところを尊敬しています。父は、職人なので黙々と作業をしています。仕事はとにかく見て覚えます。
何か、鳥居さん自身の転機はありますか
石工団地の青年部に入ったことです。仲間ができ、繋がりができました。本当は、岡崎技術工学院という若手の石屋さんが通う学校があり、そこを卒業してから入ろうと思っていましたが、熱心に誘ってくれたので入ることにしました。人の繋がりができたので、入って良かったです。
石屋さんも大分減りましたよね。
この地区だけで20くらいは減りましたね。後継者不足などで。
石屋さんのなかでは、入門してどのくらいで一人前として認められるのでしょうか。やっぱり、人それぞれでしょうか。
業種によって違いますが、灯篭の石屋で10年くらいです。墓石専門の石屋だと3年くらい、それ以外では5年というところもあります。本当に様々です。
灯篭も不景気の今、右肩下がりだと思いますが。
そうですね。昔ほどは売れないですね。昔は、展示場に置くものが無いくらいで、作ればすぐ売れるのが当たり前だった時代もありました。でも、もし売れるようになったとしても、中国には頼りたくないです。中国に頼めば、価格も安いし、できた作品がそのまま届くので作らなくていいので楽です。でも変というか、何かが違います。素人の方だと、解らない部分もあると思いますが、職人から見たら中国産だとわかります。この前ひどいなと思ったのは、透かしが無かったことですね。これからも、手加工を大切にしていきたいです。
これから先、鳥居(稔)石材店さんだけではなく、石工団地も含め、どんなことに力を入れていきたいですか。
僕と一番年が近くて10歳違っていて、40歳以下の人も8人しかいないという後継者不足の中、何でもできるようにしておかないといけないと思っています。石屋さんがいらなくなることは多分無いと思うので。お墓や庭をこうしてほしいなど、何でもできるようにして、石屋の価値を失わないように、伝統を汚さないよう、守っていきたいです。
鳥居さん個人としては、どんなことを心がけて行きたいですか。
毎日を一生懸命頑張って早く職人になることです。職人にならないことには、何もできないので。一日でも早く一人前になることですね。
鳥居さん自身のこれからの目標や、こんなことがしたい。将来のビジョンなどはありますか。
先ほど言ったように、一日でも早く一人前になることです。指示されなくても一日中働き、頼まれたことはどんなことでも断らないで作れる職人になりたいです。父は、よほど忙しいと断ることもありますが、基本的にはどんなことでも断らずに引き受けているので。そういうところをすごく尊敬しています。将来は、大きい灯篭を作りたいです。
他に後継者不足で悩んでいる石屋さんもあると思いますが、自分が継いで、これからより若い人に石を作ることの魅力を伝えていくとしたら、どんなところが魅力でしょうか。また、どうやって伝えていきたいですか。
もっと身近に感じてもらいたいですね。若い世代は、興味を持っていないと思うので。まずは興味を持ってもらわないといけないのかなと思っています。同級生の中にも、家が石屋という人もいますが、継がないなど、なかなか周りに継ぎたいという人がいないですね。もっと幅広い層に知ってもらうことが必要だと思います。実際石を触ってみるだけでも、興味を持ってもらえるのではないかと思います。キャラクター作品を作ったり、石に触れる機会を作るなど、工夫しています。
この仕事を選んでよかったことはどんなときですか。
作品が完成した時と、お客様に引き渡した瞬間に「ありがとう」という言葉を頂いた時は嬉しいです。
大変だと思うのはどんなときですか。
毎日のように怒られることです。正直、辛いです。でも、見返そうという気持ちになります。
たくましいですね(笑)そういう気持ち大事ですよね。自分の代になったときにこうしたいなど、野望とかはありますか。
もっと近代的にしたいです。現在、ホームページがないので作るなど。まずは情報発信をしたいです。
〜同世代の頑張っている姿を見ると、とても尊敬します。一人前の石工になれるよう、応援しています。これからも頑張って下さい。ありがとうございました。〜
インタビュアー:岡崎女子短期大学経営実務科2年 門城、中野
写真:同1年 柴田、服部
企業情報
企業名 |
鳥居(稔)石材店 |
代表者名 |
鳥居稔雄 |
所在地 |
〒444-0936 岡崎市上佐々木町字中切8 |
TEL |
0564-31-5795 |
FAX |
0564-31-5795 |
>>企業情報へ |