企業インタビュー
お客様の足元から「健康」まで編み上げます。
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<会社について教えてください。>
はじめに、創業の歴史について教えてください。
大法紡績は昭和30年に創業しました。元々、紡績会社で修業を積んでいた現会長である祖父が独立を志したのがきっかけです。最初は隣町の野畑町で目処を立て、廃業したガラ紡の工場を借りてはじまりました。
そして、数年後に下和田町に移転してきてからはずっとここで操業しております。
会社名の由来はなんですか。
岡崎市上地町に願成寺というお寺があります。あそこは比較的新しいお寺で、お寺と弊社の設立の時期がさほど変わらないとのことです。新参者同士シンパシーが合ったのか、とても仲が良くなったそうで、弊社が会社法人を設立する際に、現会長がご住職に会社の命名を依頼したところ、「大法」という名前を頂きました。
大法とは、一滴の水が集まって、やがてそれが大きな流れになり、よどみなく流れるという意味です。おそらく、この大法という小さな会社が時代を作っていくような、そういう会社になってほしいという想いがあると、僕は思っています。
創業のきっかけは何ですか?
やはり、現会長の一旗上げようという気持ちからだと思います。
会長は長野県の田舎で育ちました。その当時は子沢山且つ田舎だと何もない時代だったので、自分で生活して行きなさいと家から出される時代でした。なので、独立できる場所を探していたところ、その時代に繊維業が盛んだった岡崎に目をつけ、ここならば自分の名前を刻めるかもしれないと思ったからだと聞いております。
創業当時にご苦労されたことなどはございますか。
またそれをどのように乗り越えてこられましたか。
創業当時に限らず、基本的に紡績業は浮き沈みが非常に激しいですね。
その波に対処しているうちに、‛賃加工紡績’から‛手ばり’と呼ばれる自社企画の糸の製造・販売、そして‛自社ブランド’の手袋や靴下を持つメーカーへと変貌を遂げていったのが、弊社の歴史になります。創業時はガチャマン景気と呼ばれた紡績業界のバブルの終焉で不景気でした。そこで特殊紡績と呼ばれる工法、その中でも軍手用ナイロン糸の小ロット多品種生産に強みを持つことで、活路を見出したと聞いております。
ちなみに弊社は現在、紡績業を営んでいないのですが、当時のナイロン糸の分野では、
国内でも有数の紡績会社だったとのことです。
80年代のいわゆるバブルの少し前には、手ばり事業にも参入しました。
このバブルの崩壊は、手ばり事業にて、スベリ止め加工軍手を生産する大口顧客が獲得できたことで乗り切れました。実は、弊社の最高売上はこの時期に出しております。
2000年代には中国が糸の生産先として台頭します。大口顧客が中国へ流出して危機を迎えますが、軍手を自社生産して問屋を通さずに販売する独自のチャネルが確立できたことでその危機を乗り越えました。
ここで自社ブランドを持つメーカーへ、大法が変貌を遂げたことになります。
そして父である現社長が趣味で細々と作っていた靴下「絹木綿」が健康志向の方々の目に留まったことで、靴下関係の開発が加速。
当時社長が持病を治すことも兼ねて独自開発した「健康組曲」で、靴下を重ね履く「冷えとり健康法」をされる方々にも広く認知されるようになりました。
現在は一枚履き用の靴下「絹木綿」や重ね履き用靴下「健康組曲」をはじめとして、スパッツやパンツ・インナーシャツといったウェア関係にも商品を拡充。健康系が弊社の主力商品となっております。
御社商品と他社との違い、及び御社の特徴を教えてください。
弊社商品の最大の特徴は、生地の裏表で異なる材質を編んでいるということです。
基本は裏(肌に当たる方)がシルク(絹)、表がコットン(綿)で編成されております。これが商品に応じて表がウール(羊毛)やリネン(麻)に変わったりします。
これは肌に付くものからシルク→コットン→シルク→コットンと靴下を一枚ずつ重ね履くことによって身体の排毒作用を高めて健康になっていく「冷えとり健康法」から着想を得てシルクとコットンの靴下を一枚にまとめてしまおうと開発したのが始まりです。
最近は冷えとり業界の靴下でもこの手法を取り入れる企業が増えてきましたが、元祖は、弊社商品「絹木綿」です。
上記を加味した他社との違い・強みは、徹底した作りこみによる「履き心地」の良さです。
弊社では冷えとり健康法の実践者でもある社長自らが商品開発を行い、試作が百を超えるような段階の商品をいくつも有しています。
そして社内には社長及び私や取締役(母)が冷えとり健康法に関する知識を持っておりますので、開発品に随時、その知識をフィードバックできる状態にあります。
更にスタッフの皆さんは一般的な感覚を持たれているので、普通の方が履く場合の感触も捉えながら試作が行えるのも強みです。
経営理念について教えてください。
経営理念は、「三方良し」です。これは弊社だけでなく、お客様と仕入先殿も含めた3つで良くなることが大事、そしてそれが巡って社会も良くなるという意味です。
また、大法の商品は履き心地にこだわっているのでこれも経営理念に近いものはあるかなと思っています。
現在の経歴などについて教えてください。
高校までは地元の学校に通い、大学だけは東京の方に行かせていただきました。就職をきっかけに地元に戻り、とあるメーカーの自動車部品の営業で修行をさせていただいて、そこから家業の大法紡績に入り、現在にいたります。
その経験の中で、何か役立っていることはありますか。
自動車営業で言うと、実務能力を上げていただきました。ここでいう実務能力は、書類を作成する力やビジネスマナー、そして部門間の利害調整等ですね。入社当初は、メールの書き方、ファックスの出し方も知らなかったので、そういうことを一から叩きこんでいただきました。
また自動車業界は商流の上から下まで非常に多くの企業が関わります。そこに各企業の各部門ごとの利害も入るので正直戸惑いました。その中でもまれたおかげで、他人との関わりあいそのものを、ましにしていただけたかなと思います。それまでは、一匹狼な部分がありましたので。
今の仕事を始めてから感じた仕事の面白さやターニングポイントがあれば、教えてください。
まず弊社のお客様は価値をきちんと認めようとしてくれます。その価値にきちんとお金という対価を払うという姿勢で来てくださいますし、無理難題を押し付ける方もあまりいません。
そういうお客様というのは、こちらが丁寧に対応すればその分だけ丁寧に応えてくださるので仕事をしていてとてもやりがいを感じますし、逆に勉強になることも多いです。
またターニングポイントについて・・・履き心地でこんなエピソードがありました。とあるマルシェに参加したときの出来事です。スパッツを買われたお客様がいました。
その方は冷えとり健康法とは無縁で、弊社の商品も半信半疑で買われていったのですが、しばらくするとそのお客様がダッシュで戻ってきて「なんですかこれ!?こんな履き心地の良いもの、履いたことない!!」と言ってくださったのです。これは嬉しかったですね。弊社は履き心地にこだわってきたので、今後もそこは崩してはいけないと改めて思う大きなきっかけになりました。
履き心地は履いてみないと分からない地味な部分なので、派手なものを作りたくなってくることもあると思うのです。でも、このときに感じた想いというものは忘れてはいけないと思いますね。
どのような市場やお客様と商売をしていきたいですか?
繰り返しになりますが、価値を認めて、その価値にちゃんとお金を払ってくださるお客様、私は「品の良いお客様」と呼んでいるのですが、そういう「品の良いお客様」に全力で応えていきたいです。
そういうお客様のいる市場というのは、“冷えとり”かなと。冷えとり業界の方々にとても評価をしていただいているので、それにきちんと応えていく。そうしていくことで、いままで良くも悪くも変化して生き残ってきたこの大法が一つ腰を据えられるような礎を築けていけたらなと、思っています。
事業内に学生の意見を取り入れるとしたらどんなことがありますか。
素朴に感じたことをそのまま言ってくれれば良いです。その中に私達が見落としていたところや、考えもしないような新しい発想があると思うので、そこに期待しています。なので、思ったことを聞かせてください。
キャラクターものとかあると私たちと同じ世代の方が支持してくれるかもしれないです。面白い系の靴下も話題性があっていいかなと思います。
参考にさせていただきます(笑)ちなみに非売品ではありますが、オカザえもんのデザインを入れた羽織りを作ったことはありますよ。
今後の夢について教えてください。
夢というか目標ですね。大法は今年63周年(平成30年現在)ですが、これを100年続く企業にしたいです。その先続けていくにはどうしたらいいのか、10年区切りで戦略を立てて実施していくつもりです。
ただその中でも「履き心地」にこだわり、「品の良いお客様」に丁寧に応える愚直な努力を重ねていく、これは何年経っても守り続けていきたいです。そうしているうちに、100年なんていつの間にか経っているのかもしれませんね。
ありがとうございました。
浮き沈みの激しい業界から脱却するために、技術を駆使したオリジナル製品を開発したところが凄いと思いました。これからの展開が楽しみな企業であると思いました。
岩田奈穂
渡邉愛海
稲熊千愛
植田真由
豊永結加
企業情報
企業名 |
大法紡績有限会社 |
代表者名 |
山﨑 憲伸 |
所在地 |
〒444-0212 愛知県岡崎市下和田町大島28 |
TEL |
0564-51-9456 |
FAX |
0564-55-1270 |
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