企業インタビュー
古紙に未来を与える会社
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Q. 創業はいつからですか。
A. 平成3年6月からです。創業から24年がたちました。
Q. 会社名の由来を教えてください。
A. 創業者の市川聰明が大学卒業後、現在の大久保東海を立ち上げるまで働いていた東京の株式会社大久保の名前をいただきました。
Q. 御社についての説明をお願いいたします。
A. 古紙をリサイクルする会社です。 市内外の一般家庭、商店、会社、工場などから集めて選別・プレス(圧縮梱包)して製紙会社に売る商売をしています。平成3年からやっていますが、同業の中では新しい方です。
Q. 御社の特徴について教えてください。
A. 古紙だけでなく機密書類の扱いが多いこと、元々は他社では扱わなかったような紙を扱うことです。オフィスから排出されるような、封筒、付箋、メモ用紙、お菓子の箱など色んな紙が混じったようなものは元々リサイクルされていなかった。そういったものもリサイクルしていこうと早くから扱っていたのが当社の特徴です。
Q. この会社で、今までで一番大変だったことはどんなことですか。
A. 立ち上げ当初、お客様が中々つかなかったことです。創業前の目論見よりもだいぶ苦しかったようです。
Q. 次は反対に一番うれしかったことを教えてください。
A. たくさんのお客様が少しずつ当社の考え方や姿勢を評価してくださったことです。ここまでやってこられたのも、たくさんのお客様に巡り合えたおかげですね。
Q. 古紙業界について教えてください。
A. 日本の古紙のリサイクルの特徴はなんといってもちゃんと分別がされていることです。たとえばアメリカではシングルストリームといって全部一緒になっている。それを回収して、後から業者が選別をするわけですがそれだとやっぱり選別の程度が落ちてしまう。だから元から分別されている日本の古紙は相対的に言うと非常にレベルが高いといわれています。これは国民性とも言えるかもしれません。
古紙問屋という業態がどうしてやっていけるかということについて簡単に説明すると、木から紙を作るには非常に手間がかかります。原料となる木は海外から輸入しているほうが多い。ここに輸送コストが発生します。伐採地から切り出すまで、チップにするまで、海外で船で積み出すまで、船賃、日本で港から輸送するコスト。また、木からはリグニンという成分を取り除かなくてはなりません。一方古紙は、日本の色々なところで発生しています。ですから運搬コストが相対的に抑えられ、リグニンも取り除かれているので古紙から作るほうが製紙会社からしても安く済みます。古紙問屋という業種は製紙会社から見てもたいへん必要な存在といえます。
Q. お引き取り先の皆様は、主にどんな分野の方々ですか。
A. 資源回収業者、金融機関、自動車部品メーカー、官公庁など様々です。これらのお客様は通常の古紙のほかにもたくさんの機密書類を抱えています。例えば、営業上の情報や商品の設計に関すること、社員の個人情報もそうです。古紙だけに関わらず、機密書類についても取引をさせていただいています。
Q. この会社で、転機となるような出来事があれば教えてください。
A. まずは創業後におつきあいを始めていただいたお客様です。そして当社の強みである機密書類や紙ごみについての考え方を評価していただいたお客様です。いまでは金融機関や官公庁ともお付き合いがありますが、転機と表現するよりも、一軒一軒のお客様がお付き合いをしていただいているおかげだと思います。
Q. お客様は、なぜ御社へ仕事を依頼すると思いますか?
A. 弊社の姿勢とサービス内容ではないかと思っています。また、価格面というのも当然あり、その面でも評価があるためでしょう。
Q. お客様と接するときに気を付けていることはなんですか。
A. 基本的にはこの業種は、ある種、片付けの意味合いもあると思うんですね。廃棄物はお客様にとって早く片付くほうがいいので、依頼がきたら、なるべく早く回収してあげたいという気持ちがあります。
機密書類に関して言えば、一番彼らにとって便利な機密書類のサービスを提供したいと思っています。たとえば、大口だったり、小口だったり、機密の程度にもよります。なるべくコストがかからないように、なるべく彼らにとって手間がないような方法をとってあげるべきです。提案としては、2案ないし3案提案するようにしています。やっぱり本人(お客様)が選択をしないと、良い結論には結びつかないと思います。その中で「こういう風にできないの」とか意見をいただいて、そこからもう一回、再構築をしていったり、もう一回考え直すということはあります。
Q. あなたの会社で他社と違うといえるところはありますか。
A. うちの会社も企業なので利益は追求しています。会社が存続するためには利益は必要です。ただ、利益ばかりかと言ったら、ちょっと違うと思います。まずは、この会社としての考え方が重要なんじゃないかと思います。
Q. 現在の仕事の内容になるまでに扱った、他社の商品やサービスがあれば教えてください。
A.創業以来の古紙を基本的には扱っていますが、今は木質燃料チップ(木材チップ)も扱っています。
ここからは佐久間さん自身についてお尋ねします。
Q. 尊敬する方はいらっしゃいますか。
A. 今の社長を尊敬しています。いわゆる能力的な部分も非常に秀でているなと思いますが、人柄としても素晴らしいものがあると感じています。
Q. 今までで、あなたに大きな影響を与えた方はいらっしゃいますか。
A. 現在の社長もそうですが、前職で知り合った方々、あとはたくさんのお客様ですね。たくさんのお客様に会わせていただいて育てられたという感じはしますね。
社会人一年目の時は先輩や上司に教わったとおりにすれば良いと考えがちですが、それも重要だけれども、自分がどう考えて動くかが本当は重要なこと。たとえ新人といえども担当業務では会社を代表して行っているわけですから、どうすればお客様にとって良いのか、ミスをしたときでもどうしたら迷惑をかけないのか、きちんと考えて行動に移すことが大事です。仕事を通じてまずはそんな当たり前だけど大事なことを教えていただきました。
まあそういう教訓は私の場合はミスしたときに得るのですが・・・。
Q. 学生時代はどんな学生でしたか。アルバイト経験などについても教えてください。
A. あまり優秀な学生ではなかったですね。大学は神戸の小さい大学だったのですが、大学在学中はほとんどバイトしていました。いろんなバイトをしました。理由は、折角大学に入ったのに、なぜか仕事をしたかったから。アルバイトといえども一生懸命やればそれなりに周りやお客様に評価してもらえますし、それがうれしかったということもあったかもしれません。運送に携わるアルバイトの経験がきっかけで、運送の仕事は世の中に必要な仕事だと思ったので、新卒で物流企業に就職しました。学生の皆さんにも機会があればいろいろなアルバイトを経験してもらいたいと思います。アルバイトという実体験を通していろんな仕事を垣間見ることは学生の時にしかできないと思いますので。
Q. 今までに熱中したことや趣味などはありますか。
A. 前職の時に非常に可愛がっていた優秀な後輩がいました。ひょんなことからマラソン(長距離走)をすることになったんですが、どうしても負けたくなかったんですね、彼に。歳でいうと彼のほうがちょっと若くて、まあ僕は運動が得意なほうではなかったものですから勝てるわけがないんですけど。どうしても勝ちたかったんですね。だから長距離走は熱中していましたね。
学生時代に部活で走らされた人は走ることが嫌いな人が多いみたいですけど、僕はそんな経験もないので好きでしたね。大人になってから走ったので速くはないんです。もっと若い時から、たとえば高校とかから走っている人のほうが圧倒的に速いわけです。そこがいい。努力して確かにその成果はあって普通の人よりは速いけれども、それよりもっと上がいるんだっているのがよくわかるっているところが。それをまざまざと見せつけてくれるのがいい。
どんなことでも何かできるようになると安心したり、慢心しちゃう。だけどそれよりもっともっと上が世の中にはいて、もっともっとできる人がたくさんいるのが現実。走ることでそのことを改めてわからせてくれるんですよ。
ここからは今後のことについてお聞きします。
Q.5年後または10年後、あなたはどんな環境にあると思いますか。
A. 5年後、10年後を見るのであれば、やっぱり私自身はこの会社を何らかの形で代表する形にあるだろうと思います。
Q. 5年後または10年後、会社はどんな環境にあると思いますか。
A. 今でもそうですが紙の利用はどんどん減ってきています。オフィスでも家庭でも減ってきています。私たちが主に扱っている古紙というものは減っていく運命にあり、非常に環境としては厳しくなるはずです。また、もう一つ言えるのはやはり子供が少ない(少子高齢化)は紙の利用減となって影響が出てきます。しかし視点を変えれば、高齢者が割合として増えるので高齢者に携わる仕事は必要になってきています。従来の方法にない古紙の回収や従来にないサービスを提供です。今話があるのは、マンションに住む方々向けのサービスです。マンションも何年もたつと入居者の年齢が高くなり、様々な問題があります。そういう方々向けのサービスを展開できたらいいなと思います。
Q. では最後に、夢があれば教えてください。
A. 私はこの会社に勤めているので、会社が長く続いてほしいなと思うんですね。会社はなんであるかっているとやっぱり必要性があるから会社があるわけで。そのなかで働いてくれている社員がいる、その社員をずっと養っていけるような、ずっと生き残れるような会社の体制を作っていきたいなと思いますね。ずっと必要とされるような企業でありたいですね。多少やることが変わったとしても。
[学生から見た「大久保東海」の魅力]
1職場の雰囲気:古紙と笑顔があふれる作業場。
2働きがい:より質の高い再生紙になって欲しいという思いが働きがいとなっていると思います。
3将来性:時代に合わせた回収方法やサービスで地元に愛され続ける企業だと思います。
インタビュアー:阿南 香穂
野田 彩乃
撮影 :熊谷 美乃里
松岡 咲良
企業情報
企業名 |
株式会社 大久保東海 |
代表者名 |
市川 聰明 |
所在地 |
〒444-0202 愛知県岡崎市宮地町郷西11-1 |
TEL |
0564-55-8365 |
FAX |
0564-55-8345 |
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