企業インタビュー
誰もが働ける職場づくり・モノづくりをする板金屋さん
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創業はいつからですか?
私の祖父が始めましたが、実際会社として起業したのは昭和38年くらいだったと思います。大平の工場が昭和48年から操業していますが、それよりも前に根石町というところで小さな工房をやっていたと聞いています。
次に、会社名の由来を教えてください。
祖父が、額田を冠した会社名をつけたかったという理由があると思います。職人仲間で生まれた地名で呼び合う風習があったらしく、「額田さん額田さん」と祖父が呼ばれていて、それがそのまま社名になったと思います。現社長からもそのように聞きました。
現在地に移転をした理由はありますか?
それは、一つの見栄だと思います。大きい工場なら仕事が来るだろうというくらいの勢いで色々な機械を買ったと聞いています。仕事あっての設備投資が本来でしょうけど、当時はその逆で、設備を持っていると仕事が来るのではという勢いで、おそらく今の大平町に移転したと思います。
いつ頃から会社を継ごうと思いましたか?
父からは仕事を手伝えと言われたことは一度もありません。自分としては家業を継ごうとどこかで決めていた節があったので、学生時代ひととおり遊んですぐうちの会社に入りました。
ハウスメーカー様が主要なお客様とのことですが、それ以外に今までどのようなお客様がおられましたか?
今でこそ、トヨタホームがメインなのですが、それより以前で言うと、日清紡の工作機械を作っていたことや、自動車部品を作ったこともありました。一番最近では、シェル石油のガソリンスタンドのリニューアルです。
やはり、トヨタホームがメインでなかなかそれ以外の業務に手が付けられなく、9割方トヨタホームです。残り1割がシェルのリニューアルですね。
完全受注生産システムのメリットや、デメリットは何ですか?
工場の中にたくさん材料があるのですが、大体一週間分の材料です。なので、一週間に1回しか材料を入れていないのですが、おそらく他の業者さんからすると、「もっとその完成品の在庫があるはずだ」「どこにあるんですか?」って聞かれます。結構、品数がありますから、取り回しができないだろうと。でもうちの工場は限られた敷地の中で、受注した分しか作っておらず、完成品を置く場所が必要ないので、効率よく生産することができるのがメリットです。置き場を作ってしまうと今の敷地の3倍くらい要ると思います。しかも、6000品番くらいある製品、在庫数を全部管理しなければいけないので、置き場を作ってしまうと効率よく生産するのは不可能です。
デメリットは、注文を受けたらすぐに作れるようにということで、絶え間なく現場も事務方も動き続けているというところです。
受注して発送するまでどのくらいの期間がかかりますか。
最短で今日受注の今日出荷ですね。そういったものまで対応しております。
一番大変だったことは何ですか。それをどのように乗り越えましたか。
一番大変だったことは、5年前に工場を改築した時のことです。新しい機械を設置するため、稼働中の一番古い工場を床から打ち直して工場を直すのにあたって3回にわけて工場を稼動させたまま改築しました。更に言うと、建築法の関係で新工場を少し狭くなる設計にせざるを得なくて、現状よりも狭くなるのに機械が入る、なおかつ、床を全部打ち直さなきゃいけない、という話で、半年かがりで打ち合わせをしました。工事中も従業員の協力で工場の稼動を止めずに、3ヶ月掛けて改築工事を乗り越えることが出来ました。
アクセサリーの取り扱いはいつごろから始めましたか。
一年半くらい前、ロザフィという紙で作るバラのアクセサリーが、最初でした。ロザフィは難易度が高いということで、今後はもう少し簡単な子供が興味を引くような内容のものをやっていこうと考えています。時々ワークショップとか、イベントの体験をやっています。
アクセサリーと鉄工の関係性はありますか
直接はないです。ただ、仕事の可能性というか、作業という意味では鉄を扱うのも
アクセサリーのパーツを扱うのも作業の細分化をしてしまえばいろんな人が作業に携われる可能性があるという意味で関係性はあると思います。うちは量産品を作っているといいながら全部が手仕事で出来ているという意味では共通しているかもしれないです。
今の仕事をやっていて良かったと思うことを具体的に教えていただけますか。
私自身が携わっているのはモノづくりというよりもフォローのほうです。経験上モノを作っているだけでは人から良かったと言われません。出来て当然みたいな感じで。何かトラブルやクレームがあり、落ち込んだところをなんとかプラスに持っていけた時だけありがとうと言われます。自分の存在価値があると感じる瞬間です。
今後、やってみたい事業はありますか。
うちの工場はもともと男ばっかりの職場でした。ここ10年ぐらいで女性の採用を増やした結果、女性陣はすごくよく働くことが分かりました。基本、主婦の人ばかりですが、料理が上手な人は段取りが上手だったり、手際がよかったりなど、女性のほうが黙々と仕事をしてくれます。今後は、知的障害をもたれた方とか、そういう人が働けるような職場にできたらなというのが一つの事業の展開です。色々な人たちが働けるチャンスを作れるような職場を作っていけたら良いなと思っています。
尊敬する人はいますか
尊敬する人はいません。強いてあげれば、奥さんです。
理由は何かありますか
いろいろと僕が教えを乞うている人だからです。人間関係や仕事のアイデアを相談します。
従業員数は何人いますか?
24人です。正社員が約半分を占めています。10年前は正社員比率100%だったところから、パートさんという労働形態が生まれ、現在女性の方が4人現場で働いています。多い時で8人くらいいました。
板金で一番安いパーツと一番高いパーツを教えてください
数十円から 1万5千円ぐらいです。
機械は休みなく何日動いているのですか?
毎日6時間以上は動かしています。年間稼働日数は245日くらいです。
機械の故障とかで戸惑ったときは、どうやって冷静になりますか?
冷静ではいないのですが、絶対何とかしなければいけないって思うと、不思議とそういう時のほうが頭が回ります。修理の段取りと同時に、代わりの手段で生産する方法を考えます。
皆さん帽子を被っていましたが、ヘルメットでなくても危なくないのですか?
昔は従業員の誰も帽子を被っていませんでした。安全、モラル教育が行き届いていなかったからだと思います。帽子は10年前から被っていますが、モラル的な部分がようやくうちの会社に定着しました。
研修はありますか?
なかなか時間的ゆとりもなく、来たらすぐ現場に入ってもらいます。入っていく中で適性を見ます。基本的に誰でもすぐにできるように、作業を細分化して、敷居を低くしています。高度な技術が必要な作業もありますが、製品を作りながら覚えてもらいます。
機械の値段はどのくらいですか?
最近のもので3800万くらいです。
最後に私たちが夢をかなえるためのアドバイスなどありますか?
僕自身、夢があって今のことをやっているかというと実際そうでもありません。言えることは夢を持っているならその夢をどんどん口に出してそのための努力をしてください。そこを目指さないとそこには行けません。しかし夢が叶うかどうかはわかりませんし、いつまでも夢を見ていられません。夢が見つからないこともあると思います。そんな時は、求められていることに応えるっていうのも一つの生きがいなんじゃないかなと思います。今の仕事が自分に向いているかどうかっていう判断は難しいもので、得意ではなくても、求められたところで、それに応えていく現状もそれはそれで幸せなのかなと思います。
この取材を通して、実際に作業をしているところを見て、物を作るということは「安全・正確・丁寧」が主に大事だと感じました。しっかりとした将来設計もありとても素晴らしい職場だと思いました。この度は貴重なお話を聴かせていただき本当にありがとうございました。
○職場の雰囲気
従業員の皆様は真剣に仕事に取り組んでいらっしゃったので、お客様に良い物を届けたいという思いが伝わってきました。
○働きがい
お客様の「欲しい」がカタチに出来る所が「ヌカタ製作所」の働きがいだと思いました。
○将来性
高齢社会の中で幅広い年齢層や障害を持っている方などが働けるような会社作りを目指しているところに、将来性を感じました。
チームF(フォルテ)
編集長 鈴木 初美
インタビュアー 清水 柚希
平井 希美
静止画カメラマン 大山 花葉
動画カメラマン 大橋 碧
企業情報
企業名 |
株式会社 ヌカタ製作所 |
代表者名 |
清水貴 |
所在地 |
〒444-0007 岡崎市大平町字榎田53-1 |
TEL |
0564-24-2040 |
FAX |
0564-24-2041 |
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